すっぽんぽんはっけよい実況おじさん
サウナは最高だ。
10分ほど汗をながし、水ぶろにざぶ～～んとはいる。
それを２、３回ほど繰り返すと、頭の中からいろんな悩み事や不安が忘却の彼方にぶっとぶ。
こういった現象を近年のサウナ業界では「トトノウ」というらしい。
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しゃ、しゃらくせぇ～～～～～
本当にこの表現きらいだ、というか近年のサウナブームを構成する要因がきらい。
整う（トトノウ）ってなに？整う＝体の中の何かが整理される。的な意味合いはすごくよくわかる、実際、さっき書いた忘却って表現もいらないものをなくす、忘れると考えれば、頭の中を整理するともいえる。そういった事を肌で感じれるってところは本当に共感するし、銭湯神ことヨッピーさんがサウナを座禅、瞑想と関連つけていたが本当にその通りだと思える。
だけど「整った～～～」なんて叫ばねえから！！！シンプルに「んんんんｎｎ～～～～～あぁぁ……」みたいなきもちいいっていう表現しか頭に出てこねえからな！！というか、表現なんて出てこねえわ、サウナ後の気持ちの良いときは。脳みその中で単語を思い浮かべることないからね。とくに、サウナ系漫画の整った～～～の時の描写なんなんマジで、叫ぶように書いているけど、絶対作者その時叫んでねえからな、断言できる、忘却中にそんな暇ないから。
それとなにサウナハットって？ムーミン？ムーミンが住んでいるところの住人にそんなになりたいの？ただただシンプルに帽子かぶってサウナとか暑苦しいわ！！！90度くらいの室温の部屋に好き好んで入っていっておいて暑苦しいわ！！！というのもへんな話だけど。ほんとしゃらくさい。フィンランドからのサウナハットではなく、ムーミンへの憧れからがサウナハットが生まれた理由なんじゃない？渡（わたり）より景（けい）的な。
だって水ぶろ入るときに絶対邪魔になるやろ！それ！サウナの醍醐味って、ざっぶ～～んって思いっきり入るところじゃぁねえの？そんな時に、帽子が…帽子が…みたいになるなんて耐えられない。語彙力あがったカオナシか！！！
あとオロポ。オロナミンＣとポカリを混ぜた飲料。サウナ好きが好んで飲む飲料と認識され始めてるけど。
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めんどくせぇ～～～～～
そして、実際に飲むと味が完全にMATCH（マッチ）～～～～
買えよ！！シンプルにマッチを。オロナミンＣを買ってポカリスエットを買う、順序はどっちでもいいが、工程を１つ無駄に増やすな！生産性落ちることはないが、めんどくささは格段に上がる！しゃらくせ～～～～
ほんと、近年のサウナブームを見ているとしゃらくさいと思う………
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というのも、自分の中でのサウナは、そんな洒落乙なものではないっていう思いが根本にあるのが原因だと思う。というかそう教わった、おっさんたちに。
近年のサウナブームによりサウナに興味を持ち実際に取り入れている方々の頂（いただき）となる理想のサウナにはフィンランドがある。自然の中でサウナを楽しんでいる自分を目指し、想像しているのだろう。
かくいうわたしの理想はサウナというより、サウナでぺちゃくちゃ常連とくっちゃべってるおっさんを目指し想像している。仕事は見て盗めというが、サウナの作法は親に連れられて通っていた銭湯で中学校1年からおっさんの裸を見て学んだ。
だから、これまで、しゃらくさい、嫌いとさんざん言ったが、近年のサウナブームのムーブメントのことをわかっていない、というより自分はわかろうとしていないのだろう、新しいものを取り入れたくない、フィンランド何てどこにあるのかも知らない国にあこがれを持つより、サウナで流れる政治ニュースに悪態をつきながら汗をかきたいのだ。
おっさんにサウナだけでなく新しい物への拒絶の精神をも学んでいたのだと痛感する毎日、「しゃらくさい」という単語を多用するのも幼少時代にサウナで刺青入れたおっさんが発していた言葉を聞き憧れをもち使うようになったのだ（しゃらくせえな、とかではなく、しゃらくせぇぇぇ。といった風に語尾を伸ばしていたのを覚えている）。本心の奥の奥にある純粋な気持ちだとフィンランド行きたいし、サウナ後に本当の自然の中で涼しみ、川に飛び込んでみたい。サウナハットもハゲ防止の効果があるらしく、ぜひ最近あたまのてっぺんにいかんともしがたい涼しさを感じる自分は取り入れてみたいときっと思っている。
だけどだめだ、おっさんに学んだものこそ、自分の中のサウナでの常識なのだから。
そして先日あらたに、サウナにいるおっさんから学びを得た出来事があった。
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自分がいつものように最上段の定位置に座り、時間を図るようにうでにつけているＧショックの針を10分に設定し、スイッチを押したとき……
あち～～～～～
あ～～～～～あち～～～～～
と叫びながらおっさんが入ってきた
でかい、声がでかい。
いままでサウナで聞いた声の中で一番でかい。
そして、座るや否や
はっけよ～～～～い、のこった～～～～！！！！のこった！！のこった！！
つよい！！でっかいな～～～～のこったのこった！！
と、テレビで流れていた相撲放送に合わせて実況をし始めた。
ニコニコ生放送なら画面に文字が流れるだけだが、このおっさんは周りに騒音をまき散らす。とんでもなく迷惑な実況だ。
Ｇショックの針をみると、まだ3分ほどしかたっていない。
時間が過ぎるのが長い………
我慢したが、結局いつもは10分で区切りをつけているのを5分にして外に出てしまった。
そのせいか、水ぶろもいつもより気持ち良くない……
その後、体を洗い、またあらためてサウナに入ると、またあのおっさんがいた。
というか入る前に声で分かった。
しかしなにやら、先ほどとは様子がおかしい。
おっさん一人ではなく、その他３人ほどのおっさんがみんな大きな声で実況しているのだ。
サウナ室に飛び交う
のこった！！！！のこった～～～～！のこったのこった！
の声。
ここまで来ると声でもなく実況でもなく声援と呼んでいいくらいにサウナ室が熱気で包まれていた。
先のおっさん以外は、常連のいつも寡黙にサウナに入っているおっさんなのは知っていたので、一緒になって熱狂し、テレビの向こう側のお相撲さんに声援を送っている姿に心底驚きを覚えた。
どっちだ！！！どっちが勝つ！！！
いけいけ！！
のこったのこった～～～！！！
寡黙な人をも巻きこみ、良くて世間話しか許されないサウナでここまでの熱狂を演出できるなんて、このおっさんはすごいな、と感じずにはいられなかった。
フォロワーシップの大事さを説明する際に一時期話題になった動画を思い出さずにはいられない。
この熱狂を自ら引き起こす姿を参考に、自分もこれから人生を歩んでいきたいと思う。
ちなみに、相撲の取り組みが終わった後、当のおっさんに隣のおっさんが
「あんたはどっちを応援していたんだい？」
ときいていた。
自分もそこまで熱狂できるなんてどんな力士なのかと気になり聞き耳を立てていると帰ってきた答えは。
「どっちもだよ！どっちも、俺は勢いで応援してるからな！！！」
なんだそりゃッ！！！
